歯ぎしり・受け口・正中のずれ・お口ぽかん などお母さんが気づきやすいお子さんの癖を紹介解説

症状①歯ぎしり 食いしばり

(ここでは、歯を強い力でこすり合わせたり、無意識に強い力で咬みつづける行為を「歯ぎしり・食いしばり」として扱います)

原因としては歯列不正やストレスなどが考えられます。

 

「歯ぎしり・食いしばり」の治療法

大人でも歯ぎしり 食いしばりのある方はたくさんいますが、大人になってからの治療では、根本的な原因を取り除くのではなく、症状緩和(顎が痛い 歯が痛い 口周りがだるいなど)を目的とした対症療法(マウスピースの使用、行動認知療法、ボトックスなど)をすることがメインになります。

近年、ダイニング周りの環境や離乳食の早期開始、食べ方、食べ物の種類の変化でお子さんのかむ力は昔より強くなっている。。。と感じます。

体感的には、来院される半数以上のお子さんに咬み方、咬む力に異常があると感じます。

実際、親御さんにお子さんの好きな食べ物を聞くと、硬いものだったり、噛み続けられるものであることも多く、氷をバリバリ噛むようなお子さんもいらっしゃいます。

このように本来の年齢で嚙むべき食べ物より、固いものを食べ続ける習慣が長期的に継続されることで、対症療法でしか対応できない年齢になっていったのだろう・・・と推察できる患者さんが非常に多いのが現状です。

お子さんは大人と異なり、成長発育していくので徐々によくない癖を減らしていければいいと考えています。

指導や訓練がメインになるので親御さんとのコミュニケーションが重要ですが、大人とは異なりある程度根本的な原因にアプローチできるのが最大の利点なので、お気兼ねなく歯科医師を頼ってください。

 

症状②受け口

(下あごが上あごと比較して大きい 食べるときに下の顎を前に出して食べる様が「受け口」です)

 

遺伝的な関係も少なからずありますが、原因は、飲食時の姿勢や、好きな遊びとその時によくしている姿勢、寝方など生活習慣にも大きく影響を受けます。

成人では、受け口の治療は困難なことが多く根本的には下あごの骨を切って矯正治療で咬み合わせを再構成する方法となります。

奥歯しか咬んでない場合も多く、その部位の使用頻度が高いため 痛みなどの症状が出やすいのもまた特徴的です。また、かみ合わせのバランスが悪いため、治療で長期安定させることが難しく、歯の喪失や顎関節症も起こしやすい、なかなかやっかいな症状です。

 

生まれてきた時から受け口というパターンは稀で、成長とともに徐々に下の顎が出ていくイメージです。

小児期では治療で積極的に治すというイメージではなく、日々の生活や習慣を気を付けてもらうことが多いです。低年齢の子どもは下あごを前に出して遊ぶ子もいるので 遊んでいるのか 癖になっているのか見分けることが重要です。

小学生頃になると口周りや舌の筋肉がうまく使えてないことで受け口がさらにひどくなっていく場合もあるので指導や訓練が必要になります。

指導・訓練で改善が見込めない場合、早い段階で親御さんと矯正治療に発展していくかを一緒に相談し考えていきます。

 

症状③正中のずれ

噛み合せた際に前歯の真ん中(正中)が上下でずれている。または顔の真ん中(正中)に対して歯の真ん中がずれている状態を指します。

原因は普段の生活で姿勢を崩すような習慣( 母乳、ミルクをあげる方向が毎回一緒だったり、テレビ見ながら毎日食事をしたりなど)が多いです。

前歯の真ん中が多少ずれている事はよくあるのですが、姿勢を崩すような悪い習慣を継続的したまま成長すると左右の偏りがより大きくなり将来、早期に歯を失う可能性が増えます。

成人になってからの正中のズレに対する治療は歯を削ることで咬ませたり、歯を数本抜いて矯正治療を行うなど大掛かりな治療が必要になることが多く、また、ずれが大きいほど治療は困難になります。

小児期からアプローチができていれば、ずれを緩和できたり ある程度なおしてしまえる場合も多いので早期に歯科医師と相談していただければと思います。

 

症状④お口ぽかん

何もしていない時も口が開いている・食べているときも口が開いていることを指します。  

原因は、口を閉じるための成長ができていないこと、口呼吸がなかなかやめられないことが挙げられます。 

成人でも口が開いてしまう(専門用語では口唇閉鎖不全といいます)方は多くみられます。

分かりやすい特徴として、出っ歯、食事の際よくこぼす、食事の際にクチャクチャと音が聞こえる、歯の着色が多い、歯茎が腫れやすい、口臭が出やすいなどが挙げられます。

治療方法は食べ方指導、被せ物の治療や矯正治療だったりしますが、長期化することが多く、長年の癖は最終的に改善しないことも多いです。 

小児期からアプローチをする場合、口を閉じるための環境づくりからはじめます。 

例えば、ご飯のあげ方、指しゃぶりを何歳まで容認するのか、お口の筋肉のマッサージなど、年齢別に指導をする内容を選択し、自然にお口を閉じていられる状態を目指して指導・訓練をしていきます。

その為、親御さんとのコミュニケーションも大切なので、常に細やかに情報交換をして治療を進めていきます。

 

■まとめとして

大人と違って子どもには、成長発育する余力があります。
成長しきってから(悪くなり切ってから)治療するのではなく悪くなり始めたところを敏感に察知してこれ以上悪い方向に向かわせないことが非常に大事になります。

ただ小児期の歯科診療は、大人と違って歯科医師に任せておけば治っていくものとは異なり、子ども、親御さん、歯科医師 みんなが関わりあって協力していく必要があります。

むし歯がない低年齢のお子さんも一度歯医者さんで診てもらうことをお勧めします。

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